停止通知に「Amazonサービスビジネスソリューション契約の第3項に従って」とあっても、何の条項で、何が原因なのかはすぐには分かりません。この記事では、そうした通知を受け取った出品者の方に向けて、「第3項」が契約のどこを指し、何を定めているのかを整理します。そのうえで、通知の読み方、理由欄から必要な準備を見極める考え方、再開の手順と停止中の注意点を解説します。
停止通知の「第3項」は契約のどの部分か
「Amazonサービスビジネスソリューション契約」(以下、BSA)は、出品者がAmazonのサービスを利用するための基本の契約です。日本向けのBSAは、「一般条件」と、「Amazon出品サービス条件」「フルフィルメント by Amazonサービス条件」などのサービス条件で構成されています。停止通知の「第3項」は、一般条件の3番目の条項「3. 期間および終了」を指しています。
契約本文ではこの条項を「第3条」と呼んでいます(第15条の「第3条に記載するとおり本契約を終了する」など)。一方、公開されている停止通知では「第 3 項」「セクション3」と訳語が揺れていますが、いずれも同じ条項を指していると読めます。
本記事は、2026年9月時点でセラーセントラルのヘルプに掲載されている契約本文と公式の案内に基づいています。契約や画面の表記は変更されることがあるため、最新の内容もあわせて確認してください。
「第3項に従って」は、Amazonが停止・終了できる権限の出どころ(根拠)を示すだけで、停止の原因ではありません。原因は通知本文の理由欄に書かれています。根拠と理由を分けて読むことが、対応の出発点です。

第3条「期間および終了」に書かれている内容
第3条によると、契約は出品サービスの利用登録の完了日に始まります。出品者はセラーセントラルや電子メールなどで通知すれば、いつでも直ちに利用を終了でき、Amazonは30日前に通知することで都合により利用を終了させ、または契約を解除できます。停止通知に関わるのは、次の即時の停止・終了です。
直ちに停止・終了できる4つの事由
| 号 | 内容(要旨) | 対応の型 |
|---|---|---|
| (a) | 契約の重大な規定に違反し、治癒(是正)を求める通知から7日以内に治癒しない場合(Amazonが第三者に責任を負う場合は期間の短縮・省略あり) | 是正型:違反を直し、直したことを示す |
| (b) | アカウントが虚偽・詐欺・違法な活動に使用された、または使用されている可能性をAmazonが特定した場合 | 説明・証明型:事実を説明し、書類で裏付ける |
| (c) | サービスの利用が他の出品者・顧客・Amazonの合法的な利益を害した、または害する可能性をAmazonが特定した場合 | 説明・証明型:同上 |
| (d) | アカウント健全性の評価が、Amazonが公表した利用停止の閾値を下回った場合 | スコア回復型:未対応の違反を処理し、評価を戻す |
「対応の型」は条文の性質から当室が整理した見方で、Amazonの分類ではありません。(a)の「治癒を求める通知」が実務上どの警告を指すのかも、公式には説明されていません。また、2020年頃に出品者がフォーラムへ転載した日本版の文面には(d)が見当たらず(追加の時期は不明)、古い解説は現行の本文と照らし合わせて読む必要があります。
停止・終了の理由の通知と例外
停止・終了の際、Amazonは理由と異議申し立ての選択肢を示して速やかに通知するとされています。ただし、その情報が虚偽・詐欺・違法行為の捜査や防止を妨げる、または出品者が防御措置を迂回できるようになるとAmazonが信じる理由がある場合は除かれます。通知の理由が抽象的になる背景の一つとも考えられますが、個々の通知が例外に当たるかは外から判断できません。
停止通知を8つの要素に分けて読む
公開されている通知の例では、措置に続いて理由や再開の方法などが見出しごとに説明されていました。書式は時期や原因で異なりますが、次の8つの要素に分けると整理しやすくなります。
| 要素 | 確認すること |
|---|---|
| 1. 措置 | アカウントの停止か出品の削除か、入金の保留はあるか |
| 2. 根拠 | 「第3項に従って」の部分(原因ではない) |
| 3. 理由 | 問題とされた行為・商品・書類は何か |
| 4. 再開に必要なもの | 求められる書類・説明の種類と形式 |
| 5. 提出方法 | 提出場所と期限 |
| 6. 誤りと思う場合 | 異議を伝える方法 |
| 7. 提出しない場合 | 売上金などがどう扱われるか |
| 8. 対象ASIN | 商品に関する違反で通知の下部に載る、審査対象の商品一覧(本人確認など、一覧のない通知もある) |
通知はメールのほか、セラーセントラルの「パフォーマンス」→「パフォーマンス通知」でも読めます。メールで受け取った場合は、メール内のリンクを使わずにセラーセントラルへ直接ログインし、同じ通知がそこにあるかを確かめてください。見当たらなければ、そのメールのリンクや添付ファイルは開かないでください。アカウントの状況は「パフォーマンス」→「アカウント健全性」で確認します。
通知を受け取ったら最初に書き出すこと
- セラーセントラルにも同じ通知があるか
- 受信日時と、通知の全文の控え
- 理由として挙げられた行為・商品・書類の名前
- 求められている書類の種類・形式・提出期限
- 対象ASINの一覧と、案内されたヘルプの名称

理由欄から対応の型を見分ける
公開されている通知の例では、「第3項に従って」と条項全体が示されるだけで、(a)〜(d)の号までは示されていません。号を特定するより、理由欄の書きぶりから近い型を考えるほうが現実的です。通知例に見られる理由に、(d)から想定される理由を加えると次のとおりです(網羅的ではありません)。
| 理由欄の例 | 近い型 | 主な準備 |
|---|---|---|
| 本人確認のための追加書類が必要 | 説明・証明型 | 指定された書類(事業者免許、過去90日以内発行の公共料金の請求書など) |
| 偽造品の疑い(真贋) | 説明・証明型 | 仕入先の請求書など正規の仕入れを示す資料 |
| 販売に使用できない別アカウントとの関連 | 説明・証明型 | 関係の有無と経緯の説明、裏付けの資料 |
| 購入者情報の不適切な取り扱い | 是正型 | 取り扱いの実態、是正内容、再発防止策 |
| アカウント健全性の評価の低下((d)から想定。通知例では未確認) | スコア回復型 | 未対応の違反への対応 |
説明・証明型に近いケース
Amazonが何らかの事実を「特定した」と伝えてくる通知は、(b)(c)に近いと考えられます。事実関係を説明し、書類で裏付けることが中心で、スコアが緑でも起こり得ます。書類の集め方は本人確認の追加書類の準備、真贋確認で求められる書類の整理、関連付けを指摘されたときの整理で詳しく扱っています。
是正型に近いケース
規約に反する状態を指摘されたケースでは、問題の状態を止め、再発しない仕組みに変えたことを示す「是正」が準備の中心です。たとえば購入者情報の取り扱いはBSA第11条(秘密保持)と関わり、購入者の個人情報は常に秘密情報とみなされます。ただし、(a)の7日間の治癒期間は「治癒を求める通知」が前提で、こうした停止がどの号に基づくかは通知からは分かりません((c)に当たる可能性もあります)。点検の方法は購入者情報の取り扱いの点検を参考にしてください。
スコア回復型に近いケース
アカウント健全性の評価(AHR)は0〜1,000のスコアで、200以上が緑(健全)、100〜199が黄(リスクあり)、99以下が赤(不健全)です。AHRが原因で停止された場合は、違反への対応や申し立てが認められてスコアが基準値(100)に戻ると再開される、とヘルプで説明されています。違反の仕分け方はアカウント健全性スコアの点検と優先順位で整理しています。
再開を見送る旨の通知が届いた場合
虚偽・不正・違法行為への関与が判明したとして再開を見送り、追加のメールには返信できない可能性があると書かれた通知の例もあります。この場合、同じ内容の申し立てを繰り返しても状況が変わるとは限りません。まだ伝えていない事実や資料がないかを整理したうえで、専門家への相談を検討してください。
再開に向けた対応手順
通知を受け取ってから結果が出るまでを、公式ヘルプの案内と公開されている通知例をもとに4つのステップで整理します。全体像はアカウント停止から再開申請までの流れもあわせて参照してください。
STEP1. 控えを残し、事実を確かめる
通知の全文と(ある場合は)対象ASINの一覧を日付入りで保存し、社内で事実関係を確認したうえで、「異議申し立て」と「申し立て」のどちらで対応するかを決めます。公式には、「異議申し立て」は違反が誤って検出された証拠を示すもの、「申し立て」は違反はあったものの意図的ではなかったとして取り消しを求めるもの、と区別されています。問題があったのに「誤りだ」と主張すると、説明全体の信頼性を損ねるおそれがあります。
STEP2. 書類を指定の形式でそろえる
要件は通知ごとに異なるため、まず自分の通知を確認します。公開されている本人確認型の通知の例では、PDF・PNG・JPEG・GIF形式、改ざんのない本物の書類、スクリーンショット不可、名前と住所がセラーセントラルの登録情報と一致すること、などが指定されていました。真贋などで出す請求書については、ヘルプで主に次の要件が示されています。
- パフォーマンス通知の受領前365日以内に発行され、過去365日間の対象ASINの販売数量と在庫をカバーする数量が記載されている
- 製品コードと仕入先の連絡先情報が記載された、改変のない正本(価格は消してよい)
- 見積書・仮送り状、出品者自身が発行したもの、編集可能な形式(.xlsx、.docx)は受け付けられない
Amazonが仕入先に直接確認することもあります。
STEP3. 説明文を事実に沿って組み立てる
公式ヘルプは、事実に基づき明確・簡潔に書く、他の案件の情報や感情的な表現を含めない、根本原因と実行した対応を実施日・関連書類とともに示す、対象のすべてのASINの証拠を出す、資料の重要な部分(ASIN、仕入先名など)を丸や強調で示す、といった点を案内しています。次は、本人確認で登録住所が古いままだったと分かった場合を想定した例文です。停止中に登録情報を変更できるか、変更後に追加の確認が必要になるかは、通知や画面の案内に従ってください。実際の事例ではない想定例のため、自社の事実に合わせて書き換えてください。
ご依頼の本人確認書類を提出いたします。当社は◯年◯月に事務所を移転しており、セラーセントラルの登録住所が移転前のままでした。これが、書類と登録情報の住所が一致しなかった原因です。
◯月◯日に登録住所の変更手続きを行い、現在の所在地が記載された公共料金の請求書(◯月◯日発行)を添付しました。
今後は、所在地や連絡先が変わった場合、担当者が同じ週のうちに登録情報を更新する手順を定めました。
原因・対応・再発防止を、日付と書類に結びつけて書くのが基本です。詳しくは改善計画の組み立て方で説明しています。

STEP4. アカウント健全性ページから提出し、結果を待つ
- セラーセントラルで「アカウント健全性」に移動する
- ページ上部の「出品用アカウントの再開」をクリックする
- ページの指示に従って申し立てを作成する(質問書への回答や補足書類の提出を求められる場合がある)
- 「送信」をクリックし、審査結果のEメールを待つ
通知に別の提出方法(リンク先のページなど)が案内されている場合は、その指示を優先してください。ヘルプには回答まで最大で2日間程とありますが、再開の時期や可否を示すものではありません。追加の情報を求められたら「アカウント健全性の要請を見る」から提出し、前回何が足りなかったのかを確かめてから対応してください。
停止中に動く期限|売上金・在庫・注文の扱い
停止中も止まらないものがあります。「止まるもの」と「続くもの」を分けて、対応の漏れを防ぎましょう。
| 区分 | 項目 | 押さえておくこと |
|---|---|---|
| 止まるもの | 出品・売上金の送金 | 出品の削除や入金の保留を伴う例がある。留保は原則90日間。延長や、虚偽・詐欺等と判断された場合の長期留保もある |
| 続くもの | 未発送の注文 | 通知の例ではすべて出荷するよう求められていた。契約上も取引の義務は残る |
| 続くもの | 購入者情報の管理 | 秘密保持の義務は契約終了後も5年間続く |
売上金の留保と、別途の支払い請求
ヘルプの「売上金留保の解除に関するポリシー」では、留保は原則90日間ですが、リスクの継続や調査の必要がある場合は延長されることがあります。アカウントが虚偽・詐欺・違法行為などの目的で使われているとAmazonが判断した場合は、問題のある行為がなかったと確認されるまで留保され、BSA第2条には送金を永続的に留保できるとの定めもあります。異議申し立てで解除されない場合や、申し立てをしない場合は、留保日から60日経過後に disbursement-appeals@amazon.co.jp へ連絡し、支払いを求める異議申し立てを別途行えます。「通知の受領から90日」を基準とする通知例もあるため、自分の通知とヘルプの両方を確認してください。残高はペイメントレポートで確認できますが、支払いの時期は約束されていないため、資金繰りは余裕をもって見積もりましょう。詳しくは停止後の売上金の確認方法で解説しています。
FBA在庫の返送・処分の期限
FBAサービス条件F-7.2では、停止などを理由に撤去が必要だとAmazonが通知した後、30日以内(またはプログラムポリシー所定の期間内)に返送・処分の指示がなければ、Amazonが該当のユニットを処分できるとされています(条文上の対象は「取扱不能ユニット」)。直ちに処分できる場合もあるため、撤去の案内が来たら期限を控え、個別の指示を確認してください。
やってはいけない対応
- 新しいアカウントを作って販売を続ける:規約上、出品地域ごとに維持できるアカウントは1つのみで、例外はビジネス上の正当な理由があり、かつ保有するアカウントがどれも健全に運用されている場合に限られます。停止中のアカウントがあればこの条件を満たさないため、新しいアカウントでの販売は規約違反となり、すべてのアカウントが停止されることもあります。セラーフォーラムでも、Amazonのスタッフが、停止中の新規作成は状況を悪化させるおそれがあると回答しています。
- 書類を加工する、自分で作る:改ざんされた書類や自社発行の請求書は受け付けられません。手元にない書類は発行元に正規の再発行を依頼します。
- 評価やランキングを操作する、購入者を外部に誘導する:いずれも禁止行為で、出品権限のはく奪や永久停止などの措置を受ける場合があります。
申し立てと並行して知っておきたい仕組みと備え
透明化法と公的な相談窓口
Amazon.co.jpは「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(透明化法)の規制対象です。アカウント停止や売上金の支払いの留保では内容と理由の開示が求められ、取引の全部を拒絶する場合は原則30日前までの開示とされています。ただし、提供条件への反復した違反で事業の運営に支障を生じるおそれがある場合、法令等による場合、詐欺などの不正な手段による侵害行為への対応が必要な場合などの例外があり、種類によっては「遅滞なく」開示すればよい、または理由の開示が不要となる場合があります。個別の停止が例外に当たるかの判断は、弁護士に確認してください。
経済産業省の委託による「デジタルプラットフォーム取引相談窓口(オンラインモール利用事業者向け)」では、専門の相談員が無料で相談の仕方を助言するほか、弁護士の情報提供や相談費用の補助(1事業者1回・1時間まで)も行っています。あっせんや仲介は行わないため、申し立てに代わるものではなく補助的な相談先です。

連絡先の管理とアカウント健全性アシュアランス
BSAでは、出品者は連絡先情報を常に最新かつ正確に保つ必要があります。「通知設定」ページの緊急通知で、電話番号が確認済み(緑)かも見ておきましょう。「アカウント健全性アシュアランス」では、AHRを少なくとも6か月間250以上に保ち(250を下回った日が10日以内)、緊急連絡先として有効な電話番号を登録している大口出品者が自動で対象となり、問題発生の連絡から72時間以内に連絡を取って解決に取り組む間は停止されません。ただし、詐欺・虚偽・違法などの行為に関与しているとAmazonが判断した場合は、対象外として直ちに停止されることがあります。
契約の改定を確認する
BSAの変更は原則15日以上前に通知され、発効日以降も利用を続けると承諾したことになります。2026年8月24日には第18条が改定され、売上金等の債権を含む権利・義務の譲渡禁止が明記されました。2026年10月28日発効予定で第4.2条と第19条の新設も告知されています(発効前のため変更の可能性があります)。第3条の改定は告知されていませんが、お知らせは定期的に確認しましょう。
よくある質問
Q. 通知に(a)〜(d)のどれに当たるかが書かれていません。
A. 公開されている通知の例でも号までは示されていないため、理由欄から準備の方向を考えてください。大口出品者であれば、アカウント健全性ページからスペシャリストに問い合わせることもできます。
Q. 30日前の通知がないまま停止されたのは、契約に反していないのですか?
A. 30日前の通知は、Amazonの「都合による終了」についての定めで、(a)〜(d)に該当するとAmazonが判断した場合は直ちに停止・終了できるとされています。なお、透明化法は取引の全部拒絶に原則30日前までの開示を求めていますが、前述のとおり例外があります。個別の停止が全部拒絶・一部拒絶のどちらに当たるか、例外に当たるかは法的な判断になるため、疑問があれば弁護士や公的な相談窓口に相談してください。
Q. スコアが緑なのに停止されたのはなぜですか?
A. アカウント健全性の評価のよくある質問では、法律で義務付けられている場合、不正・虚偽・違法その他の有害な行為(Amazonのシステムの回避を含む)が疑われる場合、評価に含まれない他のポリシーに違反した場合は、スコアにかかわらず停止することがあるとされています。本人確認の書類を求める停止のようにスコアと別の理由もあるため、まず理由欄を確認してください。
Q. 停止中に契約を終了すれば、義務や売上金の問題もなくなりますか?
A. 第3条では、出品者は通知によりいつでも利用を終了できるとされていますが、終了しても取引の義務や債務、秘密保持の義務は残り、売上金の留保などを定めた第2条も効力が続きます。停止中に終了の手続きができるかどうかは公式ヘルプでは案内されていないため、判断の前に通知と各ヘルプを確認してください。
まとめ
- 「第3項」はBSA一般条件の「3. 期間および終了」を指す根拠であって、原因ではない。原因は通知本文の理由欄で確認する
- 第3条には、出品者からの終了、30日前通知による都合の終了、(a)〜(d)による即時の停止・終了が定められている
- 通知は8つの要素に分けて読み、理由欄から是正型、説明・証明型、スコア回復型のどれに近いかを考えて準備する
- 停止中も、未発送の注文、購入者情報の管理、売上金とFBA在庫の期限は動いている
通知の文面が抽象的なときほど、理由欄に書かれた事実と求められている書類を一つずつ確かめることが大切です。自社だけで判断が難しい場合は、状況を整理したうえで専門家への相談も検討してください。
※本記事は一般的な解説です。個別のケースは状況により対応が異なります。




