身に覚えのない低評価が続く、保留中の注文やキャンセルの依頼が急に増えた、商品ページが書き換えられた、根拠の分からない権利侵害の苦情が届いた。こうした出来事が重なると「競合の嫌がらせではないか」と感じるものです。この記事では、決めつけずに事実を記録する方法、現象ごとの公式の報告窓口と期限、避けたい対抗策、外部の相談先、運営の見直し方までを整理します。
嫌がらせを疑う前に|Amazonでの位置づけと、ほかの原因の切り分け
Amazonは、出品者どうしの不当な妨害を規約で禁止しています。出品者行動規範は、ほかの出品者やその出品情報・評価に悪影響を与える意図的な行為を不公正な行為の例に挙げ、アカウント健全性の評価(AHR)でも「他の出品者に損害を与え、または嫌がらせを意図する行為」は最も重い「重大」の違反の例です。
ただし、この禁止は誰が行ったかを問わないため、被害を受けたと感じた側が対抗措置に出た場合にも当てはまり得ます。「やり返す」ことが自分の停止理由になり得る点を、最初に押さえてください。
本記事は2026年9月時点の情報です。画面の名称や報告の入口、規約は変更されることがあるため、最新のヘルプもあわせて確認してください。なお、当室はAmazon公式の窓口ではなく、Amazon社と資本・提携関係もありません。
「嫌がらせ」に見えて、別の原因であることもある
不自然な出来事が続いても、特定の競合の仕業とは断定できません。公式の説明を見ると、通常の仕組みで起きる現象もあります。
- 保留中の注文が増える:支払い方法の確認中は「保留中」になり、カードの認証が取れない、コンビニ払いが未完了といった一般的な理由でも起きます。
- 商品ページの表示が変わる:ブランド未登録のASINでは、複数の出品者の情報から、売上や返金率などをもとに表示内容が自動で選ばれることがあります。
- 突然「苦情の通知」が届く:ブランドがProject Zero(模倣品の出品を自ら削除できる仕組み)で出品を削除すると、関係する出品者に苦情の通知が送られます。
- 広告の費用やクリックが急に増える:季節要因や入札・予算の設定変更でも起きるため、広告のレポートと請求の記録で推移を確かめます。
「誰がやったか」より「何が起きているか」「どの窓口で扱う現象か」を先に整理するほうが、早く手を打てます。



現象別の早見表|公式の窓口・期限・残す記録
嫌がらせが疑われる出来事ごとに、公式の窓口と期限、残したい記録をまとめました。窓口の表示名や場所は実際の画面で確認してください。
| 現象 | 公式の窓口・対応 | 期限・注意点 | 残す記録 |
|---|---|---|---|
| 低い出品者評価が続く | 「評価管理」から削除の審査を依頼 | 評価の送信から90日以内。評価管理以外の経路で依頼しない | 評価の画面、注文番号、配送の記録 |
| 商品レビューに低評価が並ぶ | 各レビューの「レポート」から報告 | 削除はガイドラインに反するものだけ | 投稿日と本文、集中した期間 |
| 保留中の注文が大量に入る | 出荷せず、支払いの確認を待つ | 最大21日かかる場合がある | 注文番号、注文日時、ステータスの推移 |
| キャンセルを求めるメッセージが続く | 正式なキャンセルリクエストの手順を案内 | 出品者がキャンセルするとキャンセル率に影響 | メッセージの本文と日時 |
| 保証申請が続く | 「Amazonマーケットプレイス保証申請の管理」で回答・再審議 | 最初の連絡から48時間、再審議は30暦日以内 | 追跡番号、配達記録、メッセージ |
| 別の商品や空箱が返品された(FBA) | 補てんを申請 | 返金・交換から45日以上105日以内 | 違いが分かる画像、LPNラベル、仕入れの証拠 |
| 商品詳細ページが無断で変更された | 違反報告の入口(「不正または違反を報告」など) | ブランド登録済みASINで、ブランド側が提供した情報はテクニカルサポートでは編集できない | 変更前後の商品名・ブランド名・画像 |
| 「偽物だった」という苦情・評価が続く | 「アカウント健全性」で違反を確認し、案内に沿って回答。評価は評価管理から | 重大度「高」の違反として表示されることがある。回答の期限を確認 | 仕入れの請求書、商品の写真、苦情の全文と注文番号 |
| 権利侵害の苦情・警告が届いた | 通知への返信で異議申し立て、または権利者に撤回を依頼 | 権利者が取り消せるのは過去365日以内の報告 | 通知の全文、請求書、権利者とのやり取り |
| 脅しや暴言のメッセージが届く | 「メッセージを報告」。身の危険があれば警察へ | 報告したメッセージへの返信は不要 | 全文、日時、送信者の表示 |




最初の対応|自分への通知と相手への報告を並行して進める
AHRの違反の一部は購入者の苦情や権利者からの通知をもとに判断されるため、嫌がらせが疑われる場面では、自分のアカウント健全性に違反が表示されることがあります。「相手を報告する」線と「自分に届いた通知に答える」線を分け、自分側の期限から先に押さえてください。
STEP1. 自分側の期限を洗い出す
セラーセントラルの「パフォーマンス」→「アカウント健全性」とAmazonからのメールを確認します。早見表の期限に加え、次の期限は特に短いため優先します。
| 手続き | 期限(公式の説明) |
|---|---|
| 「重大」の違反への対応 | 評価は赤・スコア0になり、停止前の猶予は3日間とされる。ただし、詐欺や虚偽などの有害な行為が疑われる場合は、スコアにかかわらず直ちに停止されることもある |
| 手動承認が必要な返品リクエスト | 48時間以内に承認する(承認しない場合も、48時間以内に購入者へ理由を返信する) |
同じポリシーへの違反が180日以内に上限に達すると、直ちに停止される可能性があります。2025年7月23日に有効になった現行のポリシーでは、重大度の高い違反の上限は2回までとなる可能性があると説明されています。嫌がらせがきっかけの違反でも、放置すれば回数に数えられかねません。対応の順番はアカウント健全性スコアの点検と改善の優先順位で詳しく扱っています。
STEP2. 画面と記録を「原本」のまま保存する
スクリーンショットは画面の一部を切り取らず、日時・URL・画面全体が分かる形で残します。証拠としての扱いについてAmazonの公式な案内はないため、「いつ・どこで・何が表示されていたか」を後から確かめられる状態にしておくのが基本です。
原本として残しておきたいもの
- 通知メールの全文(件名・送信元・受信日時が分かる形)
- アカウント健全性ページと違反の詳細画面
- 評価管理とレビューの画面(投稿日と本文)
- 注文番号・注文日時・ステータスの推移と、キャンセル・返品の経過(購入者の氏名・住所・電話番号が写る画面は保存しない)
- 商品詳細ページの変更前後の画面
- メッセージの全文、外部投稿の画面とURL
購入者の電話番号は出荷完了後に削除することが求められています。記録は注文番号で管理し、購入者の個人情報は必要以上に保存しないでください。
説明のために矢印や囲みを入れる場合は、原本とは別のコピーに書き込み、注釈を加えたものだと分かるファイル名にします。原本は手を加えずに別のフォルダに残してください。請求書など、Amazonに提出する書類そのものは、どのような形でも加工しないでください。ファイル名を「日付_現象_注文番号またはASIN」のようにそろえると、後で探しやすくなります。




STEP3. 出来事を時系列の表にまとめる
列は「日時」「現象」「対象(注文番号・ASIN)」「保存した資料」「自分の対応」「Amazonからの返答」の6つ程度で十分です。売上の変化を書くときは、比較した期間と、季節の変動や価格の変更などほかの要因も添えます。相手の関与は推測で書きません。
STEP4. 現象ごとに報告し、送信の記録を残す
窓口は現象ごとに異なるため、1つの窓口にまとめず、分けて報告します。送信した本文、添付資料、送信日時、返答を保存しておくと、追加の資料を求められたときや相談時に、何を伝えたかがすぐに分かります。




注文・返品・評価・レビューに現れる不自然な動きへの対応
目の前の購入者には通常どおり丁寧に対応し、不自然なパターンは別に記録します。この二つを分けて考えるのが基本です。
保留中の注文が大量に入ったとき
保留中の注文は支払い方法を確認している状態で、配送先や連絡先は表示されません。購入者から直接連絡があっても出荷せず、Amazonカスタマーサービスへの連絡を案内します。確認には最大21日かかる場合があります。記録と相談の進め方は注文保留が大量に発生したときの記録と相談手順にまとめています。
キャンセルを求めるメッセージが続くとき
購入者が正式なキャンセルリクエストを送った場合や、購入者の不正行為が検出されてAmazonが自動でキャンセルした場合は、キャンセル率にマイナスの影響はないとされています。一方、メッセージで頼まれて出品者がキャンセルした場合は影響があるため、依頼が続くときは正式なキャンセルリクエストの手順を案内するほうが安全です。指標の仕組みは出荷前キャンセル率への対策も参考にしてください。



不自然な保証申請が続くとき
未着を理由とする保証申請は、購入者の最初のメッセージから48時間以内に解決できないと申請に進み得るため、配送状況を確かめてメッセージ管理から早めに回答します。申請の状況はパフォーマンスメニューの「Amazonマーケットプレイス保証申請の管理」で確認でき、承認された申請に同意できない場合は30暦日以内に再審議を請求できます。追跡番号、配達の記録、やり取りは申請ごとに保存します。
すり替えや状態の違う商品が返品されたとき
FBAで、購入者が別のものにすり替えて返品したこと(主な商品が入っていない、空箱を含む)を証明できる場合は、補てんを申請できます。ヘルプでは、違いを示す画像と説明、返品された商品のLPNラベルの画像、自分の在庫から出たことを示すもの(仕入れの請求書やシリアル番号など)などが求められています。申請は返金・交換から45日以上105日以内で、状況は「在庫の問題と補てん」のページで確認できます。
自社出荷の返品では、条件によって返品手数料を請求できる場合があります。ヘルプの表には、購入者都合で出荷時と同じ状態の商品が返品された場合は商品価格の20%、メディア以外の商品が破損している・出荷時と著しく異なる状態で返品された場合は50%を上限とする例があります。ただし、この表は「返品期間を過ぎた返品を受け付ける場合」などの条件とあわせて示されており、返品期間内の返品から一律に差し引けるわけではありません。差し引く前にヘルプ「返品手数料の請求に関するガイドライン」で条件を確認してください。注文と著しく異なる商品を届けてしまった場合の返品には、手数料を請求できません。
Amazon.co.jpの購入者向けヘルプでも、返品された商品が破損している場合やお届け時のコンディションと異なる場合、出品者は返金を行わない場合があると説明されています。どちらの出荷方法でも、受け取った時点の外箱と中身を注文ごとに撮影しておきます。



出品者評価に不自然な低評価が続くとき
出品者評価は、その出品者から購入したお客様だけが、注文日から90日以内、お届け予定日から48時間経過後に投稿できます。Amazonは、競合他社の商品に対して出品者が投稿する否定的なフィードバックを、削除する評価の例に挙げています。ポリシーに沿った評価は原則として削除されず、対象は次のような評価です。
- 不適切・卑猥な言葉やヘイトスピーチを含む
- メールアドレス、氏名、電話番号など個人を特定できる情報を含む
- 別の出品者が販売した商品について書かれている
- コメントが商品のレビューに終始している(出品者のサービスへの評価と混在していれば削除されない)
削除の依頼は「評価管理」のアクション列にある「レビューを依頼」から、評価の送信後90日以内に行います。「お問い合わせ」など評価管理以外の経路で削除を依頼すると、アカウントが利用停止になることがあると明記されています。悪質だと思われる評価は、「ガイドラインおよび規約違反の報告」から追加の審査を依頼できます。詳しくは出品者評価の削除を申請する手順で説明しています。
評価に公開で返信するときのルール
評価管理からは、受けた評価に返答を投稿できます。返答は見込み客にも表示されるため、次の点を守ります。
- 氏名、連絡先、住所などの個人情報や支払い情報を書かない
- 購入者は返答に返信できないため、質問を書かない
- 返答は評価スコアに影響せず、削除はできるが編集はできない
- 評価の削除や変更と引き換えに、補償や割引を提供しない
「競合による嫌がらせです」といった断定は根拠を示せず、見込み客にも不安を与えるため、返答は事実関係と対応を短く伝える程度にとどめます。



カスタマーレビューに不自然な低評価が並ぶとき
カスタマーレビューは商品そのものへの感想で、出品者評価とは別の仕組みです。購入していないお客様からのレビューが短期間に多く投稿された商品では、購入者のレビューだけを掲載する措置がとられる場合があります。
Amazonが許可しないレビューの例には、競合他社の商品に対する出品者による低評価のレビューや、1人のお客様による同じ商品への複数の低評価のレビューが含まれます。気になるレビューは、各レビューの下の「レポート」から報告できます。出品者はガイドラインに反するレビューに限って削除を依頼でき、出品者向けの公式サイトでは、セラーセントラル右上の「ヘルプ」から依頼する方法も紹介されています(画面の文言は変わる場合があります)。Amazonはレビューを編集しません。あわせて、自社のレビュー依頼の方法がポリシーに沿っているかも点検しましょう。注意点は商品レビューの警告と依頼方法の見直しで整理しています。



商品詳細ページの変更と、偽物・権利侵害の苦情への対応
商品情報が無断で変更されたとき
相乗り出品(同じ商品の詳細ページに複数の出品者が出品すること)自体は通常の仕組みで、不正なカタログ変更の疑いとは分けて扱います。
ブランド登録済みのASINでは、ブランドの販売役割を持つ出品者が提供した情報が表示され、承認されたユーザーが提供した情報はテクニカルサポートでは編集できません。誤りは「アカウント健全性 - 不正または違反を報告」から情報を提供するよう案内されています。商品詳細ページの無許可の更新などのストアポリシー違反は「権利侵害を報告するツール」から送信できるとするヘルプもあり、報告するASINの権利所有者である必要はないとされています。どちらの入口を使えるかは、自分のアカウントの画面で確認してください。
報告の前に、変更前後の商品名、ブランド名、画像、説明文を保存し、「ブランド名が変わり、実物のパッケージの表記と一致しない」という粒度で違いを書き出します。対抗して既存ASINのブランド名やメーカー名を自分で書き換えることは避けてください。ヘルプは既存ASINの商標情報を変更しないよう求めており、ブランド名やメーカー名の誤りは、証拠を添えてテクニカルサポートに連絡するよう案内しています(ブランド登録済みASINでブランド側が提供した情報は、前述の違反報告の入口から伝えます)。




「偽物」という購入者の苦情が続くとき
アカウント健全性の評価では、「権利侵害品または偽造品であるという購入者からの報告」が重大度「高」の違反の例に挙げられています。相手の意図が分からなくても自分のアカウントに違反として表示されることがあるため、アカウント健全性ページで対象のASINと違反の内容を確認し、仕入れの請求書など真正性を示す資料をそろえて案内に沿って回答します。苦情の本文、注文番号、日時は時系列の表に記録します。資料の整え方は商標権侵害・偽造品を指摘されたときの仕入資料の整理で解説しています。
権利侵害の苦情・警告が届いたとき
虚偽の申告だと感じても、そう返すだけでは回答になりません。権利の種類、対象のASIN、申告の内容を確認し、次の対応から事実に合うものを選びます。
| 状況 | 公式に案内されている対応 |
|---|---|
| 一度も出品したことのない商品への警告 | 通知に返信し、出品していない旨を伝える |
| 権利者とライセンスや販売代理店などの関係がある | 権利者に苦情の撤回を依頼する(連絡先は警告に記載) |
| 商標・著作権を理由に誤って削除されたと考える | 通知に返信し、誤りと考える具体的な理由と、真正性を示す請求書または注文番号を示す |
| 複数の警告を受けた | 対象ASINのリストと、請求書・注文番号・権利所有者の権限付与書面のいずれかを添えて異議を申し立てる(Eメールの転送は不可) |
| アカウントが停止された | ダッシュボードから申し立てるか、停止通知に返信する |
権利者が苦情を撤回すれば、違反はアカウント健全性ページから削除されます。撤回は苦情を出した権利者が行う手続きで、対象は過去365日以内の報告に限られます。警告を受けた側は、権利者に撤回を依頼するか、通知への返信で異議を申し立てます。資料の整え方は知的財産権の警告の整理と対応資料で解説しています。



通知機能の濫用と、Amazonが受け付けない通知
Amazonは、権利を侵害していない販売業者に繰り返し報告することなどを通知機能の濫用として認めておらず、不正確な通知や虚偽の通知を複数回送信すると、送信の権限が取り消される場合があるとしています。また、「Amazonストアで承認されていない通知の種類」として次のようなものを挙げています。
- 独占販売契約や最低広告価格(MAP)契約への違反
- 登録商標の商品との互換性・適合性の記載を削除させようとする報告
- 報告する国で登録されていない商標や特許に基づく通知
- 日本と米国での、並行輸入品に関する通知
個別の通知が当たるかは権利関係によるため、判断が難しい場合は弁理士や弁護士に確認してください。



報告と相談の窓口|Amazon・警察・弁護士の使い分け
Amazonへの違反報告の書き方
他の出品者によるポリシーや法律への違反は、「パフォーマンス」→「アカウント健全性」からたどる「不正または違反を報告」で報告します。違反のタイプを選び、必要に応じて注文番号やASINを入力し、「問題の詳細を入力してください」欄に、対象の出品者のストア名または会社名、ASINと商品名、マーケットプレイス、違反の説明、補足資料(注文番号、関連するメッセージなど)を書いて送信します。
次は、商品詳細ページの無断変更を報告する場合の例文です(実際の事例ではない想定例)。括弧内は自社で確認できた事実に置き換えてください。
報告対象:(ストア名。特定できない場合はその旨)
対象:(ASIN)(商品名)/Amazon.co.jp
内容:(日付)以降、詳細ページのブランド名が「(変更前)」から「(変更後)」に変わり、メイン画像も別の商品のものに差し替えられています。実物のパッケージの表記は「(変更前)」で、現在の表示と一致しません。
添付:変更前後の画面、実物のパッケージの写真、仕入れの請求書
「不正または違反を報告」のヘルプでは、プライバシー保護のため調査結果は開示できないとされています。ストアポリシー違反の報告ツールでは結果のフォローアップが届くと案内されていますが、相手への処分内容まで分かるとは限りません。いずれの場合も、報告だけで削除や停止が保証されるわけではありません。返答がなくても、テクニカルサポートに推測に基づく依頼を大量に送ることは、Amazonが他の出品者をサポートすることを妨げる行為として禁止されています。
脅しや暴言のメッセージを報告する
購入者からの悪質なメッセージは、メッセージ管理のページ、出品アプリ、受信メールにある「メッセージを報告」から報告できます。すべてが調査されるわけではありませんが、不審な送信パターンの特定に使われます。報告したメッセージへの返信は不要で、相手を刺激する返信は避けます。身の危険を感じる場合は、安全を最優先にして警察に相談してください。




外部の相談先と役割の違い
| 相談先 | 主に扱うこと | 相談の目安・入口 |
|---|---|---|
| 警察 | 犯罪に当たる可能性のある行為、身の安全 | 緊急時は110番、緊急でない相談は警察署か「#9110」。サイバー事案は警察庁のオンライン受付窓口もある |
| 弁護士 | 法的な評価、差止めや損害賠償、発信者情報の開示の手続き | 損害が続く、外部に虚偽の書き込みがある。入口に迷えば弁護士会や法テラス |
| 違法・有害情報相談センター(総務省の支援事業) | サイト管理者への削除依頼の方法の相談 | SNSや掲示板の書き込み |
刑法には信用毀損・業務妨害や脅迫、名誉毀損などの規定があり、不正競争防止法は、競争相手の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布を不正競争と定めています。外部の書き込みについては、2025年4月に法律名が変わった「情報流通プラットフォーム対処法」(旧プロバイダ責任制限法)に発信者情報の開示請求の仕組みがあります。ただし、虚偽の通報や低評価の連投などがこれらに当たるかは個別の事情で判断されるため、罪名や違法性を自分で決めつけず、記録を持って弁護士に相談してください。



相談先に渡す「1枚サマリー」
1枚サマリーに入れる項目
- 起きている現象と、始まった時期
- 時系列の表(日時・現象・注文番号やASIN)
- 保存した資料の一覧と、原本の保管場所
- すでに行った報告と、送信日時・返答
- 自分のアカウントに表示されている違反と期限
- 売上や業務への影響(比較した期間とほかの要因)
- 相談先に確認したいこと
契約では、購入者の個人情報は秘密情報と定められています。法令遵守のために必要な場合を除いて秘密情報を開示しないことが原則で、管轄権を有する政府機関と共有する場合も、開示を必要最小限にし、秘密であることを明示するよう求められています。弁護士などに相談する際も、購入者の氏名・住所・電話番号などは渡さず、注文番号など必要最小限の情報にとどめ、扱いは事前に専門家と相談してください。



やり返しは自分の停止理由になる|避けたい行動と正規のルート
冒頭で触れたとおり、対抗措置も同じ条項の対象になります。とりがちな行動と、代わりに使える正規のルートを対にして整理します。
| 避けたい行動 | 問題になる理由 | 代わりに取るルート |
|---|---|---|
| 相手の商品に低評価のレビューを書く・身内に書かせる | 出品者による競合商品へのレビューや、家族・従業員の投稿はポリシー違反 | 「レポート」から報告する |
| 相手の商品に虚偽の注文を入れる | 他の出品者に損害を与える意図的な行為として、行動規範とAHR(「重大」)で禁止されている。虚偽・不正な注文の依頼そのものも禁止事項 | 影響を記録し、違反報告で伝える |
| ブランドの代理人を装って権利侵害を報告する | 自分の利益のための代理人報告は禁止。アカウント解約の可能性 | 自社に権利がある場合のみ、権利者として報告する |
| 別のアカウントで販売を続ける | 原則として出品地域ごとに1アカウント。出品用アカウントがすべて停止されることがある | 既存のアカウントで異議申し立てや違反報告などの正規の手続きを進める(出品を一時的に止めるなら休止設定を使う) |
| 購入者に電話で問い詰める・SNSで公開する | 購入者の個人情報は秘密情報。電話番号は配送ラベルの記入目的に限られる | メッセージ管理、「メッセージを報告」、専門家への相談 |
| 対抗して高評価のレビューを集める | 報酬と引き換えのレビュー依頼などはポリシー違反 | 購入者対応と商品の品質を見直す |
レビューの不正操作と判断されると、アカウントの停止・終了や送金の保留、法的措置の対象にもなり得ます。従業員や外注先など第三者による違反も、出品者が知らなくても措置の対象です。いわゆるステルスマーケティングは2023年10月1日から景品表示法違反とされているため、外注先の販促も含めて点検しましょう。




出品者はストアフロントの「質問する」機能では他の出品者に連絡できないとされています。Amazonの外で相手に抗議することも、トラブルの拡大や嫌がらせと受け取られるおそれがあるため避け、正規の報告窓口を使ってください。行動規範に関する警告を受けたときの考え方は出品者利用規約・行動規範の警告への対応で整理しています。


運営の見直し|一時的な保護策とアカウントの安全
休止設定で出品を一時的に止める場合
「設定」→「アカウント設定」→「ストアのステータス」の休止設定を使うと、1時間以内に出品が商品詳細ページと検索結果から表示されなくなります。ただし、次の制約があります。
| 確認すること | 公式の説明 |
|---|---|
| FBAの出品 | 休止中も出品中のまま |
| 返品リクエストと購入者からのメール | 休止中も24時間以内に対応する必要がある(STEP1の返品リクエストの期限は48時間以内だが、休止中は短いほうの24時間以内に対応しておくと安全) |
| 保留中の注文 | 自動ではキャンセルされない |
| 月間登録料 | 引き続き請求される |
休止設定で嫌がらせそのものを防げるとは限りません。止める前に未対応の注文や問い合わせ、FBA在庫の扱いを整理し、変更の日時と理由を記録します。



不正アクセスやなりすましメールも疑う
身に覚えのない設定変更や出品情報の書き換えは、自分のアカウントが不正アクセスを受けたことによる場合もあります。
- Amazonは、メールで銀行口座、カード番号、パスワードなどを尋ねない
- 正規のメールの送信元は「@amazon.com」「@amazonsellerservices.com」「@sell.amazon.com」「@amazon.co.jp」で終わる(ただし表示上の送信元は偽装されることがあるため、これだけで本物と判断しない)
- メール内のリンクではなく、セラーセントラルに直接アクセスして確認する
- なりすましメールは、ヘルプ「スパムメールの見分け方」に記載された報告先へ知らせる
- 2段階認証を設定し、担当者ごとに必要なユーザー権限だけを付与する
不正アクセスが疑われる場合は、パスワードを変更し、Eメール設定、支払い情報、ユーザー権限、ストア情報、出品情報を確認し、テクニカルサポートに報告します。



ブランド登録の要件と限界、平常時の点検
自社ブランドの商品なら、Amazonブランド登録(Brand Registry)も選択肢です。登録済みまたは出願中の商標などが必要で、無料で権利侵害の報告ツールなどが使えます。ただし、登録すれば嫌がらせを防げるとは限らず、商標の判断は弁理士などに相談しながら進めてください。
週に一度の点検項目
- アカウント健全性ページの違反と、パフォーマンス通知
- 新しい出品者評価と、主力商品のレビューの推移
- 主力ASINの詳細ページの表示(ブランド名・画像・説明文)
- 保留中の注文やキャンセル依頼の件数
平常時の画面を保存しておくと、「いつから何が変わったか」を示しやすくなり、自分側のミスの早期発見にも役立ちます。




よくある質問
Q. 競合の嫌がらせだと分かれば、自分に表示された違反は自動で取り消されますか?
A. 公式にそのような説明はなく、判定の誤りへの異議申し立てや権利者による撤回など、通常のルートで個別に扱われます。なお、「判定が誤りである」という異議申し立てではなく、違反を認めたうえで意図的でなかったことなどを示す申し立てによって削除された違反は、180日以内は繰り返し違反の回数に数えられることがあります。判定が誤りだと考える場合は、根拠となる記録を添えて異議を申し立ててください。
Q. 違反を報告したのに、相手の出品が残っています。
A. 相手への処分内容は原則として開示されません。ストアポリシー違反を「権利侵害を報告するツール」から送った場合は、Brand Registryの送信履歴で状況を確認できるとされています。同じ内容を繰り返し送らず、新たに確認できた事実があれば整理して報告してください。
Q. 購入者の請求に基づく「販売業者情報の開示」の照会が届きました。嫌がらせでしょうか?
A. 取引デジタルプラットフォーム消費者保護法に基づき、購入者は一定の条件のもとでAmazonに出品者の情報の開示を請求でき、Amazonは原則として出品者の意見を聴きます。信用を傷つける目的など不正な目的の請求は対象外です。取引の経緯を確認して案内に沿って意見を伝え、迷う場合は弁護士に相談してください。
Q. 嫌がらせをしている出品者が特定できなくても報告できますか?
A. 違反報告では、詳細欄に対象の出品者のストア名または会社名を書くよう案内されていますが、特定できない場合は推測で書かず、その旨と、確認できた事実(ASIN、変更に気づいた日時、保存した画面)を記載します。

まとめ
嫌がらせが疑われるときは、相手の特定より、記録を残して正規の窓口で説明することが、アカウントを守る近道です。
- 不自然な出来事でも、まず通常の仕組みで起きている可能性を確かめる
- 画面や通知は日時とURLが分かる形で原本のまま保存する
- 「重大」の違反の3日間など自分側の期限を先に押さえ、相手への報告は並行して進める
- 評価は評価管理、レビューは「レポート」、商品ページや規約違反は違反報告、脅しは「メッセージを報告」と窓口を分ける
- 競合品へのレビュー、虚偽の注文、代理人を装った報告、別アカウントでの回避といった「やり返し」は、自分の停止理由になり得る
- 身の危険や外部での中傷があれば警察や弁護士へ。資料は1枚にまとめ、購入者の情報は必要最小限にする
相手への処分内容は原則として開示されず、すぐに状況が変わらないこともありますが、確認できた事実を積み重ねておけば、Amazonへの説明にも外部への相談にも使えます。通知への対応に迷う場合は、期限を過ぎる前に専門家へ相談してください。


※本記事は一般的な解説です。個別のケースは状況により対応が異なります。



